秋のチロルを走ろう(1) − チロル地方の道路事情

10月といえば日本では行楽シーズンで,山にドライブなんかに行ったりしますよね.そのノリで,チロル地方を走ってみようと思い立ちました.まだ10月半ばなので,ぎりぎり大丈夫だろうと思い,マールブルクからインスブルックまで南に走り,ドロミテ街道を通る計画を立てました.

今日は,車で走るときの注意点をまとめてみました.まずは,天気です.先週までは温かかった天気も,今週から突然寒さが来ました.マールブルクでも最低気温がマイナス1度まで下がり,夏タイヤでの走行はかなり緊張しました.

特に,ミュンヘンからオーストリアのインスブルックへと抜けるガルミッシュ峠や,インスブルックから北イタリアのボルツァーノへと抜けるブレンナー峠は路面が一部凍結していました.事前にインターネットで天気を調べた時にはそんなに気温が低くなかったのですが,突然の寒波は怖いですね.今回は,10月12日の夜にマールブルクを出発し,ガルミッシュは13日の朝,ブレンナー峠からドロミテ街道は15日に通りました.17日には再びオーストリアを走りましたが,ここはとにかく大変でした.10月にはもう冬タイヤに換えた方がよさそうですね.


チロル地方の山中の道路です.17日の午後に通りました.冬タイヤなら問題なく走れる道ですが,夏タイヤでは少し滑りました.このときの気温はマイナス4度でした.この道とほぼ平行に走っているS16という有料道路も一部凍結しているようでした.

次に高速道路です.ドイツのアウトバーンは無料で走行できますが,オーストリアのアウトバーンやイタリアのアウトストラーダは有料になります.ドイツと同じように,Aが付いた道路が高速道路です.オーストリアでは,ビグネットと呼ばれるシールを買うことで通行料金を払い,これを窓に貼り付けて走行します.S16号線など一部の一般道路でも有料になっている区間があり,こちらは日本と同じように料金所でお金を払います.ETCのような機械も普及しているみたいです.スイスも同じようにシールを買って窓に張りますが,スイスのビグネットは1年券しかなく,観光客にはちょっと不便です.イタリアは日本と同じ方式のようです.


この写真の赤いマークがビグネットが必要だというマークです.これさえ付けていれば,有効期限内は何回でも走れます.オーストリアに入ってからガソリンスタンドで買えますし,アウトバーンが始まる直前の地域(ドイツやイタリアなど)のガソリンスタンドでも買えます.金額は覚えていないのですが,1週間で10ユーロくらいだったと思います.スイスは1年券で40CHF(スイスフラン)でしたので,日本に比べると非常に安いです.もちろん,スイスの券ではオーストリアは走れません.

今回の計画では,オーストリアもイタリアも高速道路を走るところが少ししかなかったので,有料道路を避けてすべて下道で行くことにしました.だいたい,高速道路と下道とが平行して走っているので,距離はそんなには変わりません.下道は,途中で気温がマイナスになり路面も一部危険でしたが,高速道路も凍結している所が見えたので,スピードが低い分だけ下道の方が安全だと感じました.冬用タイヤなら,どちらでもいいでしょうが,高速では周りの車のスピードが速いので,車間距離を取ってゆったり走った方が良さそうです.また,下道では,途中の町々も眺めながら走ることができます.時間に余裕があり,距離が長くないのならば下道がお勧めです.

その他に気をつけないといけないのが,制限速度です.ドイツの制限速度は高めなので,それに慣れていると他の国でスピード違反になる可能性があります.ドイツにもオービスのような機械がありますが,他の国にもあります.しかも,下り坂やカーブの先など見づらい所にに設置されていることもあり,地元の人でないと分かりにくいです.気をつけた方がいいですね.今回特に,リヒテンシュタインで多くの機械を見ました.また,ネズミ捕りも見ました.郊外では90Km/hか100Km/h,町中では,50Km/hか60Km/hになっている国が多いようです.低めのスピードで走った方が安全です.


特に郊外の100Km/hはかなり早いです.このくらいの道幅でも100Km/hで走ります.右ウインカーを出して車を寄せるとどんどん抜いて行ってくれますので,無理して100Km/hで走らなくてもOKです.また,写真のような工事区間では制限速度が低く設定されていますが,地元の人はあまり制限速度を守りません.それにつきあって飛ばすのはリスクが高いと思います.ヨーロッパではゆっくり走っても後ろから煽ってくることはないので,自分のペースで走った方が景色も楽しめます.


道路の標識も各国で違いました.この写真はオーストリアのもので,ちょっと字が小さくて見づらいです.ただ,190号線の部分が色が青になっていて,見つけやすくなっています.これに比べて,イタリアはとても分かりにくかったです.理由は2つあります.



第1は表記の問題です.今回走った地域は南チロルという地域で,イタリア語とドイツ語が使われます.そのため,地名もイタリア語とドイツ語が併記されており,そのせいで文字が小さくで読みにくいです.例えば,ボルツァーノはドイツ語でボーツェンになり,看板には,「Bolzano, Bozen」と書かれています.つまり,写真の看板は10か所ではなく,5か所の行き先を示しています.ボルツァーノはどちらの言葉でも似たような名前ですが,全く違う感じの名前になっている町もあります.ドイツ語かイタリア語かどちらかに統一してメモしておかないと,道に迷ってしまいます.

2番目は道路番号が書かれていないことです.上の写真にあるボルツァーノに行く右に曲がる道はSS12号線ですが,その表示がありません.普通は,右は○○号線,左は××号線などと書いてありますが,イタリアの看板は,分岐の直後にある町の名前が書いてあることが多く,迷いやすいです.事実,ドイツナンバーの車はよく迷っていました.


ちなみに,ドイツの標識は字も大きく,○○号線の表示もあるので分かりやすいです.ただし,地図に載っているAやBの表示が書いてありません.この標識の場合,青字で書かれた81がアウトバーンのA81,黄色で書かれた14がB14を表しています.アウトバーンなどドイツの道路では工事が多く,通る予定だった道が使えないことがあります.この写真のように,赤で×がしてある所は標識が無効になっています.この場合,出口が使えないという意味です.1つ先の出口まで行くしかありません.

車の旅は慣れるまでが大変ですが,日本で車を運転していればヨーロッパでも運転には困りません.日本と異なる一部のルールを早く覚えてしまえば電車やバスの旅とは違った楽しみ方を味わえると思います.特に,観光ガイドに載っていない小さな町や,工事で道路が通れないなどの思わぬアクシデントも楽しいです.

明日はインスブルックのお話です.

本日はここまで.