ベルリンからウイーンまでドライブ(1) 高速道路の運転

 

今日から東ヨーロッパのドライブのお話です.情報は2017年夏時点ですので最新情報もチェックしてください.

 

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写真の地図も古い(2010年にドイツで買ったもの)ですが,ベルリンからウイーンまでの距離感をつかめると思います.主要都市間の距離は,ベルリン(Berlin)からドレスデン(Dresden)まで約190㎞,ドレスデンからプラハ(Praha,英語ではPrague)まで約150㎞,プラハからブルノ(Brno)まで約205㎞,ブルノからウイーン(Wein,英語ではVienna)まで約135㎞です.ベルリンからウイーンまで約700㎞で休まずに移動すれば1日で行ける距離ですが,チェコ内では工事が多くて時間がかかるため,少なくとも1泊はした方がいいと思います.

 

これらの国々では,高速道路は有料です.ドイツは執筆時点ではトラック(3.5t以上)が有料で自動車はまだ無料ですが,近々有料化される予定です.チェコ,スロバキア,オーストリアではビグネット(vignettes)というシールを買う必要があります.ビグネットの料金は,以下のホームページでも調べることができます.

Highway toll and vignette in Europe - Tolls.eu

 

よくあるパターンは10日(または1週間),1カ月,1年という3種類のビグネットから選ぶというものです.2週間が必要な人は1週間を2枚買うよりも1カ月を買った方が割安なことが多いです.チェコの1年券は注意が必要で,買った日から1年間ではなく,次の年の1月まで有効になります.同じ料金ですが,1月に買えば12カ月使え,10月に買うと3カ月しか使えません.

 

ベルリンからウイーンまですべて高速で移動しようとすると,スロバキアも経由する必要があります.チェコのブルノからブラチスラバ(Bratislava)までは約130㎞,ブラチスラバからウイーンは約80㎞です.スロバキアを観光しないのであれば,ブルノからいったん下道に入って直接オーストリアに行き,オーストリアで再び高速に乗るのがおススメです.

 

ビグネットは国境沿いのガソリンスタンドなどで売られています.ドレスデンからチェコに行く際には国境手前のパーキングでチェコのビグネットが買えます.

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今回はベルリン(テーゲル空港:TXL)でレンタカーを借りました.レンタカーのカウンターは空港の屋内ではなく,外のバス乗り場の先に,少し坂を下った所にあります.手続きを済ませると受付の女性が外の道に車を持ってきて「はいどうぞ」という感じで帰って行きました.えーと,細かい説明は無し,ちょっとした地図もなしでした.もともと車にナビが付いていたのですが,使い方も分からない感じで出発です.

レンタカーのカウンターでは,どこまで行くのか聞かれます.どうやら,国によって走行できる自動車に制限があるみたいです.必要なのは町の名前ではなくて国名です.ごまかす必要もないので正直に話した方がいいと思います.ただ,私の場合はネットの予約からグレード変更になり,追加料金が必要になりました.ですが,少しいい車になって,ちょっとリッチな気分で出発です.

2018年2月にドイツの裁判所は市街地へのディーゼル車乗り入れ禁止を可能とする司法判断を公表しました.これにより,自治体の判断で市街地への古いディーゼル車の乗り入れが禁止になる可能性があります.街全体の場合もあるでしょうし,一部分だけを乗り入れ禁止にする案もありそうです.レンタカーは比較的新しい車が多いですが,将来的には全面禁止もあり得ますので,市街地のドライブを考えている人はガソリン車を借りることをお勧めします.

 

成田からベルリンへの直行便はありませんので経由便になります.今回はヘルシンキ経由にしたのでベルリンには夕方に着きました.これだとドレスデンまでにしておいた方が無難です.午前中着の便ならプラハまで行けると思います.

 

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空港を出てすぐの看板です.ドイツではよくあるパターンですが,右折方向は工事中で通行禁止です.赤い×印のある方には行けません.看板の右上にある×のような記号はジャンクションです.ドイツの看板は非常に見やすくていいと思います.

道路も見てください.車線が一時的に変更になっていて,黄色の線に従って走る必要がありますが,ドイツ人は古い線を消したりしません.初めは戸惑うと思いますが,周囲の車に従ってゆっくり走ればOKです.ヨーロッパでは右側通行が基本で,遅い車は右,早い車が左です.日本では東名などで遅い車が一番右を走っていますが,ヨーロッパではそのような走りをするとかなりクラクションを鳴らされます.なお,イギリス,アイルランド,マルタ,キプロスなどの島々は日本と同じ左側通行です.

 

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地名の左側についているのが高速道路の番号です.EUでは,E36などのEが付いたヨーロッパ共通番号と,10などの国内独自の番号があります.この看板ではドイツの113号線とEUのE36は同じ道路です.地名の4番目にFrankfurt(Odea)と書いていますが,これは日本から直行便のあるフランクフルト(Frankfrut am Main)とは別の町です.ドイツでは同じ名前の町がある場合に,町の名前の後ろに州名などを付けて区別します.東ドイツのフランクフルトはオデア川沿いにあり,ポーランド国境と接しています.

 

ドイツの高速道路,アウトバーンは速度無制限だといわれていますが違います.全線で130㎞/hが制限速度で,それ以上の速度は黙認されているだけです.町の近くなど約半分の区域では120㎞/hや100㎞/hなどの制限があり,カメラや覆面パトカーがいます.これらの区域では取り締まりが厳しいので標識に従って走りましょう.外国人でもしっかり罰金を取られます.

 

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ドレスデンからプラハまでは下道を併用する必要がありましたが,2016年末に高速ですべてつながりました.ドレスデンからプラハに行く途中のパーキング,Am Heidenholzにあるビグネット売り場です.10日券は12.5ユーロか310コルナです.チェコに滞在する予定があれば,50ユーロ札などで払ってコルナ(英語ではクラウンと発音されることが多い)でお釣りをもらうのがおススメです.チェコでは現金が必要な場面が意外と多く,しかもプラハ市内などでは交換レートが非常に悪いため,こういう場面で少しコルナを手に入れるのはいい作戦だと思います.

 

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チェコのビグネットです.窓ガラスに貼ります.普通は左上(運転席の方)に貼ることが多いのですが,チェコの場合は右下(助手席側)に貼るように指示されていました.シールを貼って,(なぜか)裏面に車のナンバーを書いたら出発です.

 

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チェコの速度制限です.街中では50km/h,郊外では90km/h,自動車専用道路では110km/h,高速道路では130km/hです.ヨーロッパでよくあるパターンです.なお,一番下は24時間ライトを点灯するという意味です.レンタカーはエンジンをかけると自動的にライトが付くことが多いと思いますが,借りたときにライトをチェックしておいた方がいいです.最近,24時間ライトをつける国が増えつつあります.このような国ではライトをつけていないと違反になりますので注意してください.

 

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チェコでは高速の看板が緑になります.表記はチェコ語ですが,分かりやすい表示です.チェコ内ではとにかく工事が多く,あまりいいペースで進めません.60㎞/hくらいで計算した方がいいでしょう.工事区間は9㎞も続くところが多く,法律で道路工事は9㎞でないといけないのか,と思うくらいとにかく工事だらけです.また,1号線などプラハ周辺は平日でも大渋滞で時間がかかります.プラハを迂回する人は渋滞が始まったら一番左車線を走りましょう.また,プラハ周辺の環状道路は分岐が少し難しいです.私も1カ所間違いました.車がすいてきたら真ん中の車線をお勧めします.

 

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チェコでは降り口は番号ではなく距離で表示されます.ブルノを通り過ぎで41番の出口で降りると,レドニッツェ城とヴァルティチェ城に立ち寄れます.どちらも非常に美しい城ですが,チェコの観光地はツアーでしか回れないところが多く,観光には時間がかかります.2つの城を見るなら3時間以上余裕が必要です.この2つの城からウイーンに行くときには注意が必要な分岐があります.

 

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オーストリアも看板が大きくて見やすく,ドイツと同じように走りやすいです.左側の看板はイタリア(I),スロベニア(SLO),ハンガリー(H),ドイツ(D)に行くことができるという表示です.オーストリアの高速道路の番号はSまたはAから始まります.

今回はウイーンは市内北側,国連都市辺りにホテルを取って,中心部には電車(地下鉄U1)で行くことにしました.リンクなど中心部は一方通行が多く,駐車場代も高いので,少し離れた場所にホテルを取るのがおススメです.

 

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オーストリアのビグネット.オーストリアという表記はÖsterreich(エスターライヒ)です.ビグネットは3.5tを超えると別料金になりますので,キャンピングカーなど大きな車の場合は車重を確認してからビグネットを買ってください.

 

東ヨーロッパでは高速道路は走りやすくおススメです.電車の車窓の眺めもいいですが,車からの眺めも良く,気になったところで降りることもできます.ガソリンスタンドなどのパーキングも定期的にあり便利です.ヨーロッパではディーゼルも多いので,レンタカーを借りるときには燃料を確認してください.

 

ビグネット方式は個人的にはすごくいいと思います.いちいち料金所で支払いをする手間がなく,間違って降りてしまってもすぐに戻ることができます.日本でも導入すればいいのに,と思います.例えば都市中心部への車の乗り入れを制限するためにビグネットを導入する,という作戦があります.1日だけ中心に行きたい観光客は1週間のビグネットを買うか,パーク&ライドで公共交通機関を使うか選択する必要があり,その分だけ車の交通量が減ります.

 

本日はここまで.