秋のチロルを走ろう(2) − インスブルック市内の動物園と博物館

今日はインスブルックの市内のお話です.

インスブルック(Innsbruck)は,オーストリアの西部にあるチロル地方を代表する大きな町です.インスブルックはイン川の橋という意味です.オーストリアは横長の国で,西部は縦の部分が狭くなっているので,北に行くとすぐにドイツになり,南はイタリア,西はリヒテンシュタインと車や電車ですぐに隣国に行けます.ウイーンやザルツブルクとも電車や高速道路でつながれており,飛行場もある交通の便のいい町です.


インスブルックに着いたのは10月13日でしたが,町はすでにこんな感じでした.翌週にはFISワールドカップのアルペンスキーが開催されるとのことで,想像よりも寒かったです.朝は0度近くまで下がり,日中も5度前後でした.ちなみに,この写真に写っている町並みは,インスブルックの旧市街ではなく郊外の方です.


インスブルックの観光に欠かせないのが,インスブルックカード(Innsbruck Card)です.インスブルック内の主な博物館等が全て無料になり,トラムやバスも無料になります(バスは近郊の町まで行ける).24時間券で25ユーロと少し高いのですが,明日お話しするケーブルカーに乗ると元が取れます.48時間で30ユーロ,72時間で35ユーロと滞在期間が長くなるほどお得感が増します(2009年当時の価格).主な観光地を回る「The Sightseer」という観光バスもインスブルックカードで無料で乗れます.この写真の赤丸のバス停が目印です.こういう観光バスは,他の町では別料金のことが多いので,この制度をもっと続けていってほしいと思います.インスブルックカードはホテルのフロントで買えます.


アルペン動物園(Alpen Zoo).ハーフェレカー(Hafelekar)という山の頂に向かって行くケーブルカー,ノルトケッテンバーン(Nordkettenbahn)の2つ目の駅(AlpenZoo駅)にあります.駅からは徒歩数分で,町中からは自動車やW番のバスでも来ることができます.インスブルックもこの動物園には力を入れているようで,どこに行っても動物園のリーフレットが置いてあります.インスブルックカードがあれば無料,なければ8ユーロです.


見た目は狭いのですが,歩いてみると結構中は広く,様々な動物が展示されています.山の斜面を生かして作られているので,上り下りが結構あります.私が行ったときには,カワウソはずっと隠れていて見えませんでしたが,熊は起きていてうろうろしていました.その他にも鳥類やシカなどの他に,ミニ水族館や,家畜動物コーナーもありました.

多くのコーナーでは,檻の中に入れるようになっていて,ワシやシカなどを間近で見ることもできます.個人的には,この写真のオオカミが気に入りました.このオオカミは檻の左下に集まる習性があるようで,その部分は下からも覗けるようになっています.私が行ったときには増築工事がおこなわれていたので,来年はもっといろいろな動物がみられるのでしょうね.


インスブルックのトラム(路面電車).1番,3番,6番,STB番の4路線が走っているようです.本数も結構多めで,主要な観光地に行ってくれます.ちなみに,インスブルックカードで無料で乗れるのは,朝6時から夜11時までのようです(バスも同じ).私は夜はさっさとホテルに帰って早寝早起き派ですので,あまり関係ありませんが,夜遅くまで出歩くのなら,ちょっと注意した方がいいでしょうね.

切符は車内で買うか,停留所にある自動販売機で買うようです.1日券は6.50ユーロですが,博物館等を利用するのなら,インスブルックカードがいいと思います.路線図はなかなか手に入らずに苦労しました.インスブルックカードの説明書に載っていればいいのですが.


ホーフガッセ(Hofgasse)という通りの様子.ムゼウム通り(Museum strasse)から王宮(Hofburg)の方に右折し,門をくぐってすぐ左に曲がった所にある細い通りです.通りは細いですが,お土産物屋やレストラン・カフェがあり,観光客がたくさんいます.王宮の入口のすぐそばには,ザッハーの看板が立っているのですぐに分かります.ザッハートルテはそんなに好きではないので,ザッハーには入りませんでした.ムゼウム通りには,トラムの1番か3番が使えますが,ホテルが駅の周辺にあるのであれば,歩いても15分くらいでここまで来ることができます.


ホーフガッセを行くと,ヘルツォーク・フリードリッヒ通り(Herzog Friedrich Strasse)が左に見えてきます.この通りの方が大きいので,こちらを先に通るかも知れませんね.このT字路になった交差点の所にあるのが,金の小屋根(Goldenes Dachl)です.中は博物館になっており,皇帝マクシミリアン1世(Maximilian I)のゆかりの品物が展示されています.インスブルックカードで無料,なければ4ユーロ.

正直言って,中は広くなく,あんまり大したことがない感じもします.ここは中から見るよりも外から見た方がいいですね.ベランダに重要な装飾があり,鏡を使ってみるのですが,日本人の体形にはあっていないようでうまく見えませんでした.インスブルックカードを持っていなければ,行く必要なし! と言いたいですが,カードがあれば無料なので時間の調整程度に覗くのはどうでしょうか.というのも,インスブルックには他にたくさんの見どころがあるからです.もちろん,皇帝一家の貴重な資料があるのも事実なので,歴史に興味があれば必ず押さえておきたいです.


市の塔(Stadtturm).ヘルツォーク・フリードリッヒ通りにあります.ちょっと入口が分かりづらいですが,金の小屋根を背にして20−30メートルほど,左側の建物の中に入口があります.インスブルックカードで無料,なければ3ユーロ.148段の階段を上って行くと,塔のいちばん上からインスブルックの旧市街を眺めることができます.そんなには高さはないですが,上からの写真がほしければどうぞ.ここは,金の小屋根のすぐそばにあり,上から眺めることができます.


アンブラス城(Schloß Ambras).ここへは,観光バス(The Sightseer)で行けます.インスブルックカードで無料,なければ8ユーロ.ここは4つのパートに分かれていて,相当見ごたえがあります.さっと見るだけでも1時間近くかかります.まずは,中世の武器などを見るパートがあり,そこから中庭の方に出ると宝物庫があります.この宝物庫にはいろいろなものが展示されていますが,日本の甲冑があってびっくりしました.そこには,1584年にルドルフ2世(Rudolf)が豊臣秀吉からもらった鎧だと書かれていました.個人的には,本当かいな? と思ったのですが,どうでしょうか?

上の写真はこの宝物庫あたりから撮ったもので,下に見えるのがスペインホール(Spanischer Saal)と呼ばれる大広間で,ここにはハプスブルク家に関連のある肖像画がたくさんあります.ここから上にあがっていくと,お城(Hochschloß)になります.このお城にもたくさんの展示があります.


なぜか,アンブラス城ではクジャクのつがいが放し飼いになっています.ここはチケット売り場の入口ですが,外が寒いのか,中に入りたそうでした.これまで,いろんなお城をみてきましたが,入場料や展示品の多さ,見学のしやすさなどを考えると間違いなくAクラスです.


スワロフスキー・クリスタルワールド(Swarovski Kristallwelten).インスブルックから車で20分ほど離れたヴェッテンス(Wettens)という町にあります.ここへは,専用のシャトルバスが9時など1日4本,インスブルックの中央駅(Hbf)などからでています.インスブルックカードがあれば,シャトルバスと入場料は無料になります.なければ,バス込みで9.50ユーロ.

はっきり言って,なんじゃこれはっ,という印象でした.個人的には,スワロフスキーの社歴やクリスタルの製造過程,デザイナーの紹介や珍しい製品の展示などを期待していましたが,それらは一切なく,クリスタルを使った前衛アートがいくつかのパートに分かれて展示されているだけです.確かに,クリスタルで作られた木などはきらきらして美しいですが,作者の自己満足な感じもします.個人的には,クリスタルで埋め尽くされた普通の壁が一番すごかったですね.ちなみにホームページも重くて見づらいです.

売店も併設されていますが,ろくな商品がなく,本当に売る気があるのか分からない感じです.昔,ウイーンのケルントナー通りでスワロフスキーの鳥の置物を買って以来,結構注目してみているのですが,私の中での株価は下がる一方です.安っぽいものや変なデザインのものが多く,有名になるにつれてダメになったのでしょうか.チェコのボヘミアンクリスタルの方がいいような気がします.今回インスブルックを選んだ最大の理由がここだったのにがっかりです.個人的には応援したいので,もっといいプログラムに変わることを願っています.

明日はその他の見どころについてお話しします.

本日はここまで.