2021年夏はヨーロッパに旅行できるか

2021年6月3日に,EUの閣僚理事会(欧州連合理事会)は日本を含む9カ国に対する旅行制限を解除するように勧告しました.しかし,この勧告があったからといってすぐに旅行できるわけではありません.

 

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出所:Re-open EUホームページ 6月6日時点.

 

 

勧告の内容

今回の勧告は閣僚理事会のプレスリリースでも確認できますが,「Travel restrictions: Council adds Japan to the list of countries for which member states should gradually lift restrictions on non-essential travel - Consilium」というタイトルになっており,特に日本からの旅行を認めるべきである,という内容になっています.

これは明らかに日本で開催されるオリンピックのための勧告であり,ヨーロッパの選手が日本から母国へと帰国しやすくする狙いがあるものと思われます.

 

なお,閣僚理事会からの勧告には法的拘束力はなく,旅行制限はそれぞれの加盟国が決めます.また,デンマークとアイルランドは今回の勧告の影響は受けません.

旅行制限が解除されるのは,オーストラリア,ニュージーランド,ルワンダ,シンガポール,韓国,タイ,中国,イスラエル,日本の9カ国で,このうち中国は中国側がEUからの旅行制限を解除することが条件となっています.

 

旅行にすぐに行けるようになる?

EU各国が今回の勧告に応じて旅行制限を解除するとしても,国内での手続きがあるため,すぐにヨーロッパに旅行できるわけではありません.先ほどのプレスリリースでも,「旅行制限を段階的に廃止する」という部分が太字で強調されており,当面はワクチン接種証明書などが必要だという条件も付きそうです.

また,閣僚理事会のリストは2週間ごとに見直されるため,日本国内での感染状況によっては再び旅行制限が導入される可能性もあります.オリンピックが中止または延期になった場合にも旅行制限が再導入される可能性があります.

 

Re-open EUというサイトでは,各国の移動に関する情報がまとめられています.6月6日時点での情報をまとめてみました. 

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注:この表は簡略化してあります.詳しくは,Re-open EUや各国の在日大使館などで確認してください.

 

Re-open EUを見る際には,TRAVELのタグの地球のマークをクリックしてください.一番左の緑のマークはEU市民向けの情報です.また,トランジット(乗り継ぎ)で通過するだけの場合は,右から2番目のオレンジのマークをクリックしてください.

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ヨーロッパ側では旅行制限がなくても,日本側には制限があります.

水際対策に係る新たな措置について|厚生労働省

新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について|外務省

日本からの出発やヨーロッパへの入国はできても,日本への帰国では現時点で様々な制約があります.

 

なお,イギリスは2020年にEUから脱退したため,このサイトでは情報が手に入りません.イギリスの情報は,新型コロナウィルス関連情報 | 在英国日本国大使館などを見てください.また,6月6日時点ではイギリスとEUとの間の旅行は制限がありますので,ロンドン経由でEUに旅行することができません.

 

今年の夏も見送りがお勧め

今年の夏はヨーロッパに旅行しようと計画した人は多いと思います.実際に,場所を選べば旅行は可能です.例年よりも観光客が少ないことが予想され,快適に過ごせるかもしれません.

 

ただ,私のお勧めは,今年も見送りです.

 

ヨーロッパ旅行では,かなり前から計画を立てて準備する人が多いと思います.準備期間中に情勢が変わるたびに計画を変更しなければなりません.また,博物館などの名所は再開されつつありますが,入場制限などが夏も残る可能性が高く,せっかく現地に行ったのに十分に観光できなかった,という可能性もあります.同じ国でも地域によって移動制限が課されていることもあり,完全に自由にどこでも行けるわけではありません.さらに,現地では終息しつつあるとはいえ感染は続いており,現地で感染すると隔離措置などがとられ,それ以上観光できなくなってしまいます.

 

ヨーロッパ旅行は時間もコストもかかります.せっかくの旅行ですので,観光,食事,アクティビティなどを十分に楽しめる方がいいと思います.無理にでも旅行に行くという選択肢もありますが,来夏に向けて情報収集と貯金をする方がいいと思います.

 

本日はここまで.