アンデルセン童話で巡るデンマーク(2) ユラン半島

 

今日も引き続き,デンマークのお話です.今日はドイツと陸続きになっているユラン半島(ユトランド半島)を巡ります.

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写真はビルン(Billund)にあるレゴランドの様子です.コペンハーゲンのニューハウンを再現しています.右側に下流側の橋がありますが,そこから上流に向かっての建物の色は実物と同じです.ビルンへはコルディンから車で1時間弱,オーデンセからは1時間半くらいです.HPで事前にチケットを購入すると割引になります.車で行く人は駐車場のチケットも購入しておきましょう.残念ながら,ビルンはアンデルセン童話には出てきませんので,今回はこれだけです.

 

ユラン半島はアンデルセン童話にはあまり出てきません.「イブと小さいクリスティーネ(第3巻)」にはシルケボー(Silkebourg)やオーフス(Århus)など,「沼の王の娘(第4巻)」にはスケーエン(Skagen)周辺,「砂丘の物語(第5巻)」にはニスムフィヨール(Nissum Fjord)周辺やスケーエン,「ベアグルムの僧正とその一族(第6巻)」にはベアグルム(Børglum)が出てくるくらいです.童話の中では,ユラン半島はどちらかというと暗いイメージがあります.

 

ユラン半島の地図をよく見ると,北部は陸続きになっていません.ニスム湾,リムフィヨール(フィヨールはフィヨルド,海峡のこと)などで区切られています.西の方では繋がっているようにも見えますが,Oddesundというところで切れています.ここは幅が400mしかないそうです.そこから北の地域をティー(Thy)と呼ぶようで,「ベアグルムの僧正とその一族」に出てくるティー州とは北部ユラン半島を指すようです.このお話はイェーリング(Hjørring)の南西にあるベアグルム修道院(Børglum Kloster,またはBørglum Abbey)にアンデルセンが滞在した時に現地の伝説をもとに思いついたようです.修道院は現在は観光地になっていて,オールボーからE39号線で北に進み,5番の出口で593号線を西(Løkken方面)に進みます.開館日はHPで確認したいところですが,あまり更新されていないようです.残念ながら,今回は訪問していません.

 

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オールボーの様子.オールボー郊外の展望塔から撮りました.この展望塔は作りがかなり不安でしたが,案の定,風で揺れます.展望スペースはレストランしかなく,何か頼まないといけない雰囲気です.食べ物はがっかりするものしかないので,飲み物だけ頼んで景色を楽しむのがいいと思います.美味しいものは町中で探した方がいいです.写真で川のように映っているのがリムフィヨールです.写真の左側がティー州になります.オールボーからスケーエンまでは105kmです.途中までは高速で行けますので,車だと70分くらいでしょうか.

 

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これはいったい何の写真だ,となりそうですが,スケーエンの町からさらに数キロ北に行くと,グレーエン(Grenen)という場所になります.厳密にはここはユラン半島最北端ではないですが,ユラン半島の先っぽになります.この写真の奥の方がユラン半島が終端です.

波が左右の2方向から来ているのが分かるでしょうか? 童話の中ではユラン半島周辺は船の運航が難しく,スケーエン周辺でも船が難破したようです.「砂丘の物語」でスケーエンに住んでいる人々も難破船から流れてくる積み荷を拾っていい生活をしています.今回は見えませんでしたが,スケーエンの真東にはスウェーデンのヨーテボリ(Göteborg,英語ではGothenburg:ゴーセンバーグ)があります.距離は80kmくらいでしょうか.運が良ければ陸地が見えるかもしれません.

 

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スケーエンの町中です.観光客が集まるのは港周辺とそこからあるいで10分足らずの町中です.レストランなどいろいろな店があります.

この近くには貸別荘がたくさんあるようで,観光客は貸別荘を借りてのんびりと過ごすようです.スケーエンには海洋博物館がありますが,行くとちょっとがっかりするかもしれません.

 

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オーフスの大聖堂からの眺め.ここまでに来るのに階段を150段登ります.オーフスはデンマーク第2の都市で,中心部は近代的な都市になっています.オーフスではデン・ガムラ・ビュ(古い町の意味)が有名ですが,写真の場所からはかなり歩きます.デン・ガムラ・ビュは建物を見て回るだけならそれほど広くはありませんが,ほぼすべての建物の中を見ることができます.しっかり見たい人は体力と時間を確保してから行きましょう.なお,隣接する駐車場はすぐにいっぱいになってしまいます.朝一番の訪問がおススメです.

 

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これは絵ではありません.デン・ガムラ・ビュは敷地が時代ごとに分かれていて,各時代の格好をしたスタッフが日常生活を再現してくれています.皆さん英語もOKです.質問すると丁寧に教えてくれます.中にはパン屋,お菓子屋,本屋などもあり,パンや本などを購入できます.

 

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オーフスの町中から4kmほど南に行くと,モースゴー博物館(Moesgaard Museum)があります.博物館は改装されて綺麗になっています.ここではグローバレ人の展示もあります.この地域には湿地帯が多く,グローバレ村の湿地で見つかった2000年ほど前の人のミイラが展示されています.アンデルセン童話でも「パンを踏んだ娘(第4巻)」など沼が出てくる話がいくつかあります.暗い部屋ですので,ちょっと怖いですが,発見から展示までのビデオ上映もあります.モースゴー博物館は石器時代や鉄器時代などの古い時代のものがメインです.

 

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この町はアンデルセン童話には出てきませんが,ユラン半島南西の町,リーベ(Ribe)です.オーデンセからは車で1時間ほどで行けます.写真中央の緑のテントがある建物は,ホテルDagmarで,1581年に操業したデンマークで一番古いホテルだといわれています.リーベの町では一番いいホテルです.ただ,歴史の重みのせいでホテル全体が少し傾いています.それも味だと思える人は良いですが,私は慣れるまでに2日ほどかかりました.ホテルのすぐそばのワッフル屋は夏のシーズンは夜遅くまで開いているので便利です.

リーベは落ち着いた小さな町でゆったりのんびり過ごすのに最適です.町中にはバイキング博物館などいくつかの見どころもあります.郊外にもバイキング時代をテーマにした野外博物館があります.

 

リーベの町から海沿いに北に進むと,エスビアウ(Esbjerg)の町があります.この地域では拠点となる街で,港湾都市でもあります.さらに海沿いを北に進むと砂丘地帯になります.今回は訪問していませんが,「砂丘の物語」の舞台となるニスムフィヨールなどが見えてきます.この海沿いの道はThyborønで少しだけフェリーに乗りますが,それ以外は車でずっと北上できます.高速道路はないので,時間がかなりかかると思います.

 

デンマークの観光というと,コペンハーゲンやオーデンセですが,ユラン半島はそれらと違う独特の雰囲気を持っています.時間に余裕があったらぜひ訪れてみてください.

 

本日はここまで.