大都市への車の乗り入れについて

この1月から,自動車の環境規制が一段階厳しくなりました.

ドイツでは大都市圏を走る車には環境規制があります.排気ガスがクリーンでなければ走ることができません.排気ガスがクリーンであることを表すためのステッカーがあり,赤,黄色,緑の順番でよりクリーンな車に貼り付けることができます.


これがステッカーです.現在のドイツでは一番排ガスがクリーンな部類の車に着けるステッカー(D4ステッカー)です.車検場で排気ガスの検査をして,一定基準をクリアするとこのステッカーを買うことができます.ステッカーは車検場や整備工場,一部のガソリンスタンドで購入できます.だいたい10ユーロちょっとです.マールブルクのような地方では今のところステッカーは不要ですので,必ず購入しなければならないわけではありません.


数年前からこのような規制があり,現在はドイツの40都市で実施されているそうです.今回の規制強化は,一部の都市で,赤または黄色のステッカーでは都市への進入が禁止されるようになりました.フランクフルトなどの大都市の入口には,このような標識があります.ここから先は,指定された色のステッカーを付けていないと走ることができません.違反は40ユーロ+反則点1点です.フランクフルトでは,赤のステッカーの車は侵入できなくなりました.ベルリンなどでは黄色もダメになったそうです.

私の車は2000年式で,EuroIII(EUの排ガス規制,現在はEuroVが適用されている)の規制しかクリアしていませんが,ドイツでは一番上の緑のステッカーです.赤のステッカーは相当古い車に適用されているのではないかと思いますので,大きな混乱はないのではないかと思います.ただ,フランクフルト市内に住んでいて赤ステッカーの車しか持っていない人は,買い替えをしなければならなくなります.

ドイツでは,2009年1−9月に,車の買い替え政策を実施して古い車が減少しています.この政策は,登録から9年以上たった車を廃車にして環境基準をクリアした新車を買うと,2500ユーロの補助金が得られるというものです.このような廃車政策は,ヨーロッパのいくつかの国で実施されており,新車の販売増に大きく貢献しています.

ドイツの中古車市場には,日本では考えられないような古い車にもかなりの値段が付いています.前にもお話ししたことがありますが,走行距離で10万Km以下の車が見つかるとちょっとラッキーで,インターネットのサイトでは15万Kmとか20万km以上の車が多数掲載されています.また,1990年代の車も結構あります.ドイツ人は1台の車に長く乗るためです.古い車に乗っていた人が多く,金利も下がっており,補助金も出るとのことで,買い替えが進んだようです.2009年のドイツ国内の新車登録台数は,前年比23.2%増だそうです.

廃車政策と環境規制が組み合わさったのは偶然でしょうが,よく考えられた政策になっています.観光客にとっては,レンタカーを使うのでこの問題は直接関係ありませんが,日本から車を持っていったり,現地で車を買う場合には車検を受けてステッカーを買わないと大都市には行けなくなりますので要注意です.

本日はここまで.