ラトビア(4) − シグールダとトゥライダ城

今日は,リーガの北東約50Kmのところにあるシグールダ(Sigluda)のお話です.某歩き方ガイドブックでは,スィグルダとなっています.どちらの読みが正しいのか分かりませんが,ここではとりあえず,リーガの本屋にあったガイドブックの読みのシグールダにしておきます.

リーガのバスターミナルから,シグールダ行きのバスは1時間に1本あります.11番か12番から出発です.片道1.50ラットで約70分です.電車では片道1.55ラットで約75分です.シグールダの駅とバスターミナルは歩いて2−3分しか離れていないので,どちらを利用してもいいと思います.バスについてですが,実は,リーガからシグールダに行けるバスはもっとたくさんあります.ですが,シグールダ行き以外のバスはバスターミナルではなく,近くの国道沿いのバス停に止ります.そこから,インフォメーションまでの地図を持っていれば,800メートルくらい歩いてインフォメーションまで行けますが,初めてであればシグールダ行きのバスを待った方がいいと思います.


シグールダのバスターミナル.シグールダにもいくつか見どころがあいますが,本命は隣町のトゥライダ(Turaida)にあるお城です.道は難しくありませんが,結構遠いです.まずはここのインフォメーションで地図をもらいましょう.また,バスの時刻表ももらっておきましょう.観光では,このバスセンターからトゥライダを通ってクリムルダ(Krimulda)まで行く,12番のバスを使います(1回0.30ラット).時刻表はこのバスの時間の他に,リーガに行くバスと電車の時間も載っているすぐれものです.


某歩き方ガイドブックでは,まずお城までバスで行って,その後歩いて降りてくる方法を勧めていますが,インフォメーションのお姉さんは行きを歩いて帰りにバスを使う方法を勧めてくれました.ということで,この道を歩いて出発です.インフォメーションによると,まずは新シグールダ城(Siguldas Jaunā Pils)と旧城址(Sigludas pilsdrupas)を見た後ケーブルカーに乗ってガウヤ川(Gauja)を越え,グートマニャ洞穴(Gūtmaņa Ala)を見てトゥライダ城野外博物館(Turaidas Muzejrezervāts)に行くのが定番コースとのことです.早速この道を歩いて出発です.


インフォメーションから500メートルほど行くと,このルター派教会(Luterāņu Baznīca)が見えてきます.私が行ったときはミサの最中でしたが,2階のパイプオルガンがある所に案内してくれました.小さなパイプオルガンがあり,ガラス越しに中が見られるようになっています.


新シグールダ城.平日は中に入ることができるようです.美しい庭園とお城,背後には旧城址(つまり廃墟)も見えます.

ここまで来たら,元来た道を案内板がある所(教会のあたり)まで戻り,ケーブルカーの乗り場に行きます.インフォメーションでこの道を勧めたのは,ケーブルカーのチケット売り場が下にしかないからです.ケーブルカーはだいたい30分に1本ありますが,冬季は係りの人が下に待機していて,時間が来るとケーブルカーと一緒に上に登ります.そこでお客さんが待っていなければ,すぐに下に戻ってしまいます.上から歩いてきた人は,乗り場で時間が来るまでケーブルカーを待ちましょう.ケーブルカーは,平日2ラット,休日2.50ラットです.

特に眺めがいいわけでもなく,そのくせ料金が高いのですが,ガウヤ川を越える橋は1つしかないうえに,この道路には歩道がなく危ないため,バスかケーブルカーを使わざるを得ません.ケーブルカーで上った先はクリムルダという地域で,ここにはクリムルダ城址があります.これも廃墟です.12番のバスもこの近くまで来るようです.つまり,あまり見所がなく,せっかく上に来たのにすぐに坂道を降りていくことになります.私のお勧めは,教会のあたりからバスに乗ることです.ケーブルカーは時間もお金も無駄です.


グートマニャ洞穴.この洞窟には,トゥライダのバラという伝説があるそうです.1620年の夏,当時は小さな子供だったマイヤという女性が,この洞窟の近くで餓死寸前の状態で発見されます.トゥライダ城の執事はこの女の子を保護して育てます.やがてマイヤは美しく成長しました.このころ,お城の庭師のヘイルと仲良くなったようです.ヘイルはマイヤと会うために,夕方に洞窟に来るように伝えようとしましたが,マイヤに横恋慕したポーランド人の傭兵によって,夕方ではなく昼に来るように誤ったメッセージが伝わります.ちょうどこのころは,リトアニアとエストニアはリヴォニア国と名乗っており,スウェーデン・ポーランド戦争の結果スウェーデンの支配下に入っていました.

マイヤは昼に洞窟まで降りてきましたが,そこにはヘイルの代わりに傭兵がいました.彼はマイヤを我が物にしようとしましたが,彼女に拒否されたため殺害してしまいます.この殺人劇で最初に疑われたのはヘイルでしたが,裁判の結果,真実が分かりヘイルは釈放されました.当然傭兵が牢に入れられたわけですが,ヘイルのとりなしによってわずか4カ月で釈放されたそうです.

ここを見る必要があるのかといえば,ちょっと疑問ですね.シグールダにはボブスレーのコースがあり,週末には観光客用の乗り物に乗って体験できます.これが目当てで来たのですが,後述するように,いろいろ歩いたために時間がなくなり,ボブスレーに乗れませんでした.どうしても洞穴を見たいということでなければ,ここをスルーしてバスで直接トゥライダ城まで行く方がいいです.


ここからトゥライダ城まで坂を登って行きますが,道路の道と川沿いの遊歩道の2通りがあります.道路には歩道がないため,川沿いの道を行きましたが,これが大変でした.洞穴から遊歩道を道なりに進み,道路を渡ってさらに歩きます.そのうち,右手にガウヤ川が見えてきます.ここまで500−600メートルくらいです.高さが80−100cmくらいの石碑が見えてきたら,左に曲がってこのような坂をどんどん登って行くと,トゥライダ城の敷地内にある公園に出ます.


トゥライダ城一帯は博物館になっており,お城と公園,小さな農村博物館からなっています.入場料は,夏は3ラット,冬は1.50ラット.写真の真ん中に見える塔には登ることができ,この辺り一帯の景観が楽しめます.お城には3階建ての博物館がありますが,入口がさりげないので,頑張って探してください.

ここからバスでインフォメーションまで戻りましたが,次のバスまで時間があるときには,バス停の後ろにあるカフェで時間をつぶせます.ただ,ラトビアのバスは時間通りに来ないので注意が必要です.と書くと,バスが遅れるのかと思われるでしょうが,実は逆で,田舎のバスは時間よりも早めに来ることが多く,しかも,時間が来るまでバス停で待つことなくどんどん進んでしまいます.10分前にはバス停にいた方が安全です.


インフォメーションから西に500メートルほど行くとボブスレーレーンがあります.休日は観光客用の遅い乗り物があります.1人7ラット.17時まで営業とのことでしたが,私が16時半ごろ行った時には,もう受付は閉まっていて掃除をしていました.仕方がないので,コースのスタート付近だけみてきました.ここに行くのであれば早めに行った方がいいですね.

シグールダは冬よりも夏の方がいいかもしれませんね.リーガ観光に来て,1日だけ郊外に行く時間がある,というのであれば,シグールダよりも明日お話しするバウスカ(Bauska)の方がお勧めです.

本日はここまで.

追記(2016年):バルト諸国の通貨はすべてユーロになっています.クレジットカードは多くの場所で使えますが,古いサイン式のカードは使えません.ICチップ付きのクレジットカードは必須です.バルト諸国の新しい観光情報は,「おさんぽわんこの旅の思ひで…ヨーロッパ編」がとても詳しいので,ぜひご覧ください.