シェンゲン協定一時停止の延長

今日は,旅行にも関係のあるシェンゲン協定についてです.

シェンゲン協定とは,EUによる共通査証コントロールのことで,日本人の旅行者にとっては国境のパスポートチェックが不要になる制度のことです.イギリス,アイルランド,クロアチア,ブルガリア,ルーマニアを除くEU加盟国23カ国に加えて,ノルウェー,アイスランド,リヒテンシュタインが参加しており,スイスも一部の項目で参加しています.

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 この写真はクロアチアとモンテネグロの国境です(2013年).モンテネグロはEUに加盟しておらず,シェンゲン協定にも参加していません.乗車している全員のパスポートをチェックし,モンテネグロでは車検証のチェックも行われます.怪しいと思われると車を移動して荷物をチェックされます.

飛行機でヨーロッパに行く場合は成田などで出国,ヨーロッパで入国と別れているように,陸路の場合でもクロアチアの出国とモンテネグロの入国と2回チェックを通過します.渋滞することもあり通過には結構時間がかかります.

 

シェンゲン協定は国際的なイベントなどで一時的に停止することができます.治安維持などの目的で,入国者を国境などでチェックできます.2015年夏から大量の難民が流入するようになったことで一時的なシェンゲン協定の停止を実施している国があります.マルタなど期限が切れている国もありますが,現在でもドイツ,オーストリア,デンマーク,スウェーデン,ノルウェーの5カ国が国境での審査を実施しています.

この期限が2016年11月で切れるため,これらの国々は期限の3カ月延長を希望しています.国境審査が行われる場所は,

  • オーストリアとハンガリー,オーストリアとスロベニアの陸路の国境
  • ドイツとオーストリアの陸路の国境
  • デンマークの港(ドイツ行きのフェリーポート)とデンマークとドイツの陸路の国境
  • スウェーデンの南部の港とオーレスン橋
  • ノルウェーのデンマーク・ドイツ・スウェーデン行きのフェリーポート

で,2017年2月まで延長される見通しです.

 

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この写真はデンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのマルメを結ぶオーレスン橋です.パスポートのチェックはデンマークからスウェーデンに渡ったところにある料金所の先です.電車でコペンハーゲンからマルメに行く場合には電車はコペンハーゲン空港でいったん乗り換えます.乗り換えの時にパスポートのチェックがあります.

 

シェンゲン協定の一時停止は最長で2年間まで延長できます.2017年中には2年を迎えますので,何らかの新しい措置が取られる可能性もあります.いずれにせよ,旅行者もパスポートがないと国境を通過できませんので,これらの国への旅行を予定している人は現地についてからもパスポートを携帯する必要がありますね.

 

本日はここまで.