チップについて

今日はチップについてのお話です.

日本にはチップの習慣がないので,旅行したときにはどうしたらいいのだろうと思いませんか? 結論からいうと,チップは必要ありません.

チップを払う場面で一番多いのは,レストランだと思います.チップを払う根拠としては,ウェイターのサービスでしょうか.それでは,ウエイターは何をしているのかというと,客を席に案内し,メニューの説明をし,料理を運び,料金の計算をします.特別なことは何一つしていません.例えば,電機屋に行くと,定員は機能やアフターサービスの説明をしてくれます.こちらの要望を伝えると,それに見合った機種を探してくれます.このようなサービスに対してチップは必要でしょうか? 定員は当たり前の仕事をしており,その仕事に対してお店から給料をもらっています.給料分の仕事をしているわけです.

レストランでも同じです.料理の説明や皿を運ぶのはあたり前の仕事で,これらの費用は店内の照明と同じように料理の料金に含まれています.その上,チップを払う意味は何でしょうか?

アメリカなど一部の国では,店がウエイターに給料を支払っておらず,チップが給料代わりになっているところもあるようですが,これは経営の仕方が悪いのです.それだけでなく,チップは領収証がないので,ウエイターの収入を計測することができず,本来払われるべき税金も払われません.脱税を促す慣習です.ちなみに,ドイツでは2015年に最低賃金が導入されたため,ウエイターはちゃんと給料をもらっています.

私もドイツに来てすぐのときには,お釣りをキリのいいところでもらうようにしてチップを払っていましたが,周りをみるとだれも払っていないことに気が付きました.それ以来チップは払っていません.チップがなくても別に定員はいやな顔をしませんよ.

チップは価格形成をゆがめて不透明にする慣習です.私の印象では,ヨーロッパでは,チップの習慣はなくなりつつあるような気がします.特に,カフェや普通のレストランでは不要です.私はすべてのヨーロッパの国々に行ったわけではありませんが,チップはどこでも不要でした.ヨーロッパのほとんどの国で払わなくてもOKです.

日本人は意味のないところで見栄をはってお金を払いたがります.ヨーロッパ人もそこがよく分かっていて,白人には要求しないのに,日本人にはチップを要求します.チップの要求はいろいろあって,直接チップがほしいということもありますが,例えば,お釣りをもらうつもりで多めに出すと,これでいいか,とよく聞いてきます.つまりお釣りはいらないか,という意味です.はっきりとお釣りを要求しましょう.ただし,イタリアだけは特別です.チップを渡さないと暴力を受ける可能性があるので,状況をみて判断してください.イタリアのぼったくりは,日本人だけでなく,ドイツ人やアメリカ人なども被害にあっています.ニュースがいろいろ流れていますが,改善されることは絶対にないので,気をつけておきましょう.イタリアのレストランに行くときには,多めの現金やクレジットカードは持っていかない方がいいです.

その他の場面では,ホテルのメイクアップやルームサービスなどでしょうか.これもチップは不要です.昔であれば空港で荷物を運ぶポーターがいましたが,今はいませんのでここでもチップはありません.タクシーも少なくともドイツでは払う必要がありません.ときどき,タクシーの料金メーターに「この料金にはチップが含まれていません」と書いてありますが,払う必要はありません.もし,チップをくれみたいなことをいえば,不愉快なのでチップに相当しない,とはっきり言えばいいでしょう.ただ,タクシーの運転手はあまり小銭を持っていないので,10セントくらいのお釣りはあきらめた方がいいかもしれませんね.

チップは快いサービスに対して気持ちを表すものです.チップを払いたくなるような快いサービスをしてほしいものです.


今日も写真がなかったので,昔撮った写真からいくつか紹介します.




これは,チェコのプラハの写真です.ここはスメタナ博物館の隣にあるオープンカフェです.スメタナの像,モルダウ川(ブルタヴァ川),カレル橋,プラハ城が映っています.右側の建物がスメタナ博物館です.




これは,ルーマニアのブカレスト市内の公園内にあるレストランです.ルーマニアは自然が美しく,郊外に出ると昔の建物も残っていますが,観光客にとってはとにかく不愉快な国です.隣のブルガリアとは全く国民性が違います.少なくとも,空港とブカレスト市内が鉄道で結ばれるまでは行きたくないです.




こちらはブルガリアのソフィア市内のレストラン.ブルガリアは,ルーマニアよりもはるかに物価が安く,人々は親切です.ルーマニアにはたくさんいる野犬もこちらでは少ないです.

本日はここまで.

追記(2016年):ヨーロッパでは,徐々にチップの習慣がなくなっているように思われます.イギリスは結構チップを払う人が多いように思えます.チップがなくなる理由の一つがクレジットカードによる支払いで,特にICチップ付きのカードでは金額を確認して暗証番号(PIN)を入力するだけです.キャッシュレスなので,ウエイターに現金を渡すきっかけがありません.