秋のチロルを走ろう(5) − ボルツァーノ

今日は北イタリアのボルツァーノのお話です.

ボルツァーノ(Bolzano)は北イタリアの観光町で南チロル地方にも属するため,Bozenというドイツ風の名前も持っています.町の通りを示す看板もイタリア語とドイツ語の両表記になっており,お店の人も外国人をみるとドイツ語を話します.ホテルなどでは英語も通じますが,田舎町ということもあり,小さな商店などでは英語は厳しいです.観光スポットはドイツ語で紹介されることが多いので,ここでは,(ドイツ語,イタリア語)の方式で場所を書いて行きます.

ボルツァーノには,電車やバスでアクセスできるようです.私が泊まったホテルはバスセンターの近くでしたが,朝早くから夜遅くまでたくさんの長距離バスが出ていました.市内の見どころはすべて歩いて行けます.ロンコロ城は市内から離れており,バスがお勧めですが,それでも歩いて行くことができます.ボルツァーノのホテルやヴァルター広場(Walther Platz,Piazza Walther)にあるインフォメーションでは詳細な地図が手に入るので,それを使って観光できます.

駅やバスターミナルから旧市街の中心部までは歩いて10分くらいです.基本的には歩いて観光できる町です.


ヴァルター広場にある大聖堂(Dom,Duomo).私が行ったときはミサが行われていて,中は見られませんでしたが,かなり大きな教会です.この辺が観光の起点になると思います.広場には,ツーリストインフォメーションやバス停などがあり,ロンコロ城へのシャトルバスの乗り場もあります.インフォメーションは昼休みがあります.


アーケード通り(Lauben,Portici).広場の真北にあります.この写真で見るとちょっとさびしい感じの裏通りに見えますが・・・


アーケードというだけあって,両脇の建物の中には様々なお店があります.さらに北側の通りに向かって伸びるアーケードもあり,お土産やケーキ,ブランド物のアクセサリーやペットなど様々なものが手に入ります.ここで買い物をするのもいいと思います.


アーケードの近くにはこのようなパン屋やアイスクリーム屋があります.パン屋もBrotと書いてあるのでドイツ語ですね.


アーケード街のたばこ屋さんで.ここには,コインや絵ハガキなどのお土産も売っています.ちょっと珍しいスクラッチくじがあったので挑戦してみました.最高賞金は400万ユーロ! 1枚20ユーロもする高額くじです.結果は・・・まぁ,そんなものはどうでもよく,珍しいくじを楽しめました.


アーケード通りを右に進み,1つ目の通り(Bindergasse,Via Bottai)を左に曲がると自然科学博物館(Naturmuseum Südtirol,Museo di Scienze Naturali)に着きます.南チロル地方の地形や動物,鉱物などが展示されていて隠れた名所だと思います.5ユーロ.(2009年当時の価格)

ここで,Museum Cardというものをもらいました.これは,南チロルにあるいくつかの博物館の入場料が2割引きになるというすぐれものです.ボルツァーノでは,こことアイスマンのある考古学博物館で使えます.こちらの方が入場料が安いので,ここで先にもらっておくと少しだけお得です.


こちらは考古学博物館(Südtiroler Archäologiemuseum,Museo Archeologico dell'Alto Adige).名前が長いので,エッツィ博物館(Ötzi)またはアイスマン博物館とも呼ばれています.入場料は9ユーロですが,Museum Cardで7.20ユーロに割引きになります.広場からアーケード街を左に曲がってまっすぐ行ったところにあります.

ここの見どころは何といってもアイスマンです.1991年に発掘されたアイスマンは,5300年前に氷河に閉じ込められたまま,ミイラのようになって現代まで過ごしてきたそうです.氷漬けになっていたことで,死の直前に食べたものや病気までわかったそうです.アイスマンに関しては,呪いだとうわさされるような事件がありましたが,現在でも一般公開されていて見ることができます.個人的には,ここはミイラ博物館と呼びたいくらいで,世界中のミイラが展示されています.観光シーズンを外したこともあり,他の場所には観光客はほとんどいませんでしたが,ここだけは大混雑でした.


凱旋門(Siegesdenkmal,Monumento alla Vittoria).考古学博物館からタルファー川(Talfer,Talvera)を渡った所にあります.この辺までが主な観光地で広場からは歩いて5分くらいでここまで着きます.


タルファー橋(Talfer Brücke,Ponte Talvera).ここからの川の眺めは美しいですが,なぜか,橋にはこのような南京錠がたくさんつけてありました.カップルと思われる名前が書いてあったので,名前を書いてここにつけると幸せになる,というような伝説があるのかもしれません.


橋を博物館の方に戻ってきて北に向かうと,このような遊歩道があります.川の両側には公園などもあり,散策にはいい所です.


遊歩道を北に行くとマレッチュ城(Schloß Maretsch,Castel Mareccio)に着きます.私が行ったときには閉まっていて,中が見たいなら電話してくれという張り紙がありました.電話をして開けてもらえばいいみたいですが,今回は遠慮しました.ここまでは徒歩圏です.


ルンケルシュタイン城(Schloß Runkelstein)またはイタリア語でロンコロ城(Castel Roncolo).遊歩道を北に向かって行くと標識が見えるので,それに従って川沿いを歩いて行きます.地図にある最短ルートは,途中から道が狭くなる割には交通量が多く危険なので,標識は安全な道を回り道させるようになっています.本当に危険なので,それに従った方がいいと思います.

歩いて行くと広場から城の下までは20−30分かかります.そこで,12番のバスか城までのシャトルバスの利用もありだと思います.12番のバスは城の下までしか行かないので,城まで階段を上って行きます.シャトルバスは城の入口まで行くみたいです.


ここで昼食を取りました.南チロルの伝統料理みたいで,結構おいしかったです.特にハムがよかったですね.


ロンコロ城は博物館になっています.8ユーロ.Museum Cardは使えません.そこそこボリュームもあり,見物する価値はあると思います.中庭では,中世風の服を着た人々が短い劇を見せてくれたり,一緒に写真を撮ってくれたりします.


ロンコロ城からの帰りは山の道を通りました.下から上ってきた道ではなく,さらに坂を登って山の方にあがって行きます.山をある程度登り切るとT字路のようになるので(閉鎖された洞窟の入口のようなものがある所),右に曲がって今度は山を降りていきます.この道ははっきり言ってきついです.本当にきついですが,この道は写真のようにブドウ畑の横を通って行く景色のいい道です.小さな集落の中の急坂を教会(St. Peter)を見ながら下って行くと,先ほど車が多いと書いた道にぶつかります.ここから200メートルくらいは車が多くてちょっと危ないですが,町中に戻る道はこれしかありません.この道で帰ると1時間はかかりますが,体力があるのならお勧めします.地図上では,緑の細い線であらわされています.

ボルツァーノは落ち着いた感じの小さな旧市街を持ち,ゆったりと観光できます.町の人はイタリア語とドイツ語を話し,観光客もドイツやオーストリアの人が多いせいか,安心感もあります.アクセスもよさそうなので,南チロル地方の観光の拠点にもなりそうです.

チロル地方を走る旅はまだまだ続きますが,いったんここで打ち止めにして,明日からはマールブルクの話に戻ります.

本日はここまで.