マールブルクのエリザベート教会

マールブルクの見どころはお城(Schloss)とエリザベート教会(Elisabeth Kirche)ですが,今日は教会についてお話しします.

お城についてはこちらから.

お城まで歩いて行ってみよう
マールブルク城博物館

エリザベート教会(ドイツ語の発音ではエリーザベト教会の方が近いようです)は聖エリザベートを祀った教会です.エリザベートは13世紀に実在した人物で,彼女の話は「チューリンゲンのエリザベート」としてドイツでは有名です.エリザベートは1207年の生まれといわれており,ハンガリーの王族に生まれました.14歳の時にドイツのチューリンゲンでルードヴィッヒ伯爵と結婚しましたが,当時の王族としては珍しく,貧しい人々への支援を行っていました.伯爵の死後,そのことが原因でヴァルトブルク城を追い出され,マールブルクにやってきました.エリザベートはここで救貧院を設立し,まずしい人への支援を続けましたが,24歳で亡くなりました.


エリザベートの死後に建てられた教会がこのエリザベート教会です.建設には1235年から1283年まで約50年かかっています.エリザベート教会には,ドイツ騎士団修道会が深く関与していました.ドイツ騎士団は13世紀当時には大きな政治力を持っており,エリザベートの死後わずか4年で彼女を聖人にすることに成功しました.その後,エリザベート教会はヨーロッパでも有数の巡礼地になります.


教会内部.コンサートもよく催されます.この日も準備が進んでいました.この写真で見えている部分は無料で見学できますが,奥に入るにはチケットが必要です.入場料は3.50ユーロ.日本語のリーフレットがありますので,入口でもらっておきましょう.


内部にはいろいろなものがありますが,これはエリザベートの遺骨が入っていた黄金の神殿です.1539年までエリザベートの遺骨がここにありました.この教会はもともとはカトリックだったのですが,宗教革命後はプロテスタントになっています.そこで,遺骨が持ち去られたわけです.

その他にも,エリザベートの奇跡を描いた祭壇や美しいステンドグラス,歴代のヘッセン辺境伯の納骨館,エルンスト・バルラッハによるキリスト像などの見どころがあります.このキリスト像ですが,バルラッハの作品はナチス政権下でほとんどすべて破壊され,現在残っている作品は非常に少ないそうです.

エリザベート教会は現在では巡礼地ではありませんが,今でもヨーロッパから多くの人が教会にやってきます.私が見学に行った日も,フランス人の団体が見学に来ていました.



教会のすぐそばには,エリザベートが建てた救貧院の跡地があります.また,マールブルク市博物館にも教会やエリザベートに関する展示があります.

本日はここまで.